May 10, 2007

Eye opener

パリの花/パリのフルリスト
評価:★★★★

フラワーアレンジメントの雑誌などは毎年一回は必ず買って目を通しています。植物の絵を描くのが好きなので、ふと気が向いたときにいつでも使えるように。最近、本屋さんにその雑誌が無かったので、代わりに何となく本書を手にしました。
ファッション・ジャーナリストとファッション・フォトグラファーのコラボレーションで作られたパリのお花屋さんの紹介本。ただそれだけの企画ですが、超センスがいいです、これ。似たような本は他にもあっても写真がイマイチだったりするので、当のお花屋さんだけではなく著者2人のセンスも一流なのではないかと思います。
植物、特に花が咲く植物は、茎や葉を含め様々な色が同居していて色のセンスを磨くのに非常にいいサンプルとなります。さすが、日本で手に入らないような様々な色とりどりの植物に長年接しているフルリストだけあって、ブーケの組み合わせの素敵さには脱帽です。
でもこの本が私にとってEye Openerである理由は、店内の写真。パリのお花屋さんはインテリア雑誌のようにカラフルなペンキで壁を仕上げてあって、多種多様な器に花を生けてあります。そうか、お花を生けるってそういうことか。と思ったのは、「花が大事なんじゃなくて背景と器が大事なんだ」ということ(正確にいうと、花と器、花と背景のマッチングが大事だということ)。極論すれば、生けてあるものは造花であろうがオモチャであろうがOK。花はメインディッシュではなくて、メインディッシュに添えられている飾り付けの一部。花だけが綺麗でもセンス良くは見えないのです。これはガーデニングでも、インテリア全般でも言えることだなあと思って、個人的にガツンと来ました。

文学史観にうなづく

新潮選書 世界文学を読みほどく (新潮選書)
評価:★★★★★

小説以外の本で久しぶりに夢中で読みました(文学論なのである意味、物語的ですが)。池澤夏樹さんが京都大学の文学部で、夏休みに行った一週間の集中講義を書き起こしたものです。7日間に亘り午前と午後ひとコマずつの講義でそれぞれ1作品、計10作品(加えイントロおよび総括)が紹介されています。
小説を読むのは好きですが、これまで文学論というものに全く興味を持ってきませんでした。「大学の文学部ってそもそも何のためにあるのか?文学部の教授って一生かかって小説の何を研究することがあるのか?」と思っていた訳です。文学も解釈の仕様によって世の中を読み解く鍵になったり、言葉の奥に現実を映す豊かな世界が広がっている、というのは正直驚きです。だって小説はそもそも人が創作したものであり、確かに時代の文化風土を反映しているかもしれないけど、時代を読み解くというのは大袈裟じゃないか、なんとでも解釈できるのではないか、人の作ったものをああでもない、こうでもないと穿り返すのは時間の無駄じゃないかと思っていたので。
子どものころからそう思っていたので、国語のテストなどいつも全然ダメでした。人が小説を解釈するのに正解なんてあるのか?と疑っていたせい。
正解があるかはともかくとして、解釈によってより豊かな世界に導かれるというのはあるかもしれない、と思った最初の経験はある映画です。「Prince & Me(邦題はなぜかプリティ・プリンセス)」という若い女の子向けのラブ・コメディがあって、普通だったら1回観て「ふうん」っていうくらいの映画なのですが、ある1シーンが好きで何度も観ています。それはシェークスピアのソネットの1文を主役の2人が議論する場面です。
主人公の女の子は医者志望で超努力家である一方、文学などは全く苦手で、(何故か)必修のシェークスピアの授業に苦労しています。シェークスピアの詩を読んでもさっぱり何が言いたいのか分からず、デンマークからの留学生(デンマークの皇太子という設定で、ある意味ハムレットと比喩を成している)に助けを求める。詩の解釈を教えてもらったヒロインは「だったらなんで最初からハッキリそう書かないの」とシェークスピアに対して腹を立てます。そこで彼が言うひとことが好き。「People rarely say what they mean. That's the interesting part」。超当たり前といえば当たり前ですが、でも確かにそうだなあと思うのです。また、朗読するシェークスピアの詩がとても美しくて、いつか読んでみたい、と観るたびに惹かれてしまいます。
(映画自体は、別に特におススメするほどではなくて、「こんなの何度も観てるんだ」と思われるのが恥ずかしいかも。演技もイマイチだし。米国Yahoo!Movies(?)では「Better than expected」と書かれていましたが。)

ともかくとして、本書では19世紀から現代までの海外著名文学書が紹介されています。全部いつか読んでみたいと思っていて先送りにしていたものばかり。パルムの僧院、カラマーゾフの兄弟、ユリシーズ、百年の孤独、など。どれも荒筋さえ知らなかったので、大まかなストーリー、何故その作品がすごいか、作者が何を考えてそれを書いたか、そこからその国(ロシアやフランスやアメリカなど)の時代のどんな空気が読み取れるか、が分かって非常に面白かった。小説の書き方というのも、語り手と登場人物との距離のとり方、小説に出てくる世界の区切り方で色々な手法があるものだということも新鮮でした(つまりこれが「文体」というものなのか!)。また、その距離感というのが作者の世界観、しいては時代の色を理解するのに効いてくる。池澤さんはそれらの作品を通し、この約170年間で人間の認識する世界観がどれ位変わってきているかと読み解くことを講義の目的とされていて、それもまた面白かった。
密度は非常に濃いですが、口述筆記形式なので大変読みやすい一冊です。これを読んで、上に挙げた4作品は読まなきゃ!と思いました。

>続きをクリックすると、映画のそのシーンのQuoteに。

May 08, 2007

スパイダーマン3

スパイダーマン3
評価:★★★

先週、会社の同僚と観て来ました。単純に面白かったです。1か2を観たことがある人は必見でしょう。そしてどうせ観るなら絶対に映画館で観るべし。眼が追いついていかないくらいスピード感のある映像が見物です。これはTVの小さいスクリーンでは全然迫力がでません。
そもそもマンガなので、細かいことを突っ込むのはダメ。主人公のかっこ悪いダメさ加減と一途さを楽しみつつ、テンポの良いストーリー展開に目を奪われましょう。
話は3部作としてまとまりがあり、「めでたしめでたし」という感じ。「もうさすがに4は無いでしょう」という同僚に対し、「いや、作ろうと思えば4も作れるでしょ」と話していたところ、噂なのか本当なのか2009年公開でアナウンスされていました・・・さすがに4は観に行かないんじゃないか・・・と思っています。

仮面の男

仮面の男
評価:★★★★

レオナルド・ディカプリオ,ランダル・ウォレス,ジェレミー・アイアンズ,ジョン・マルコビッチ,ガブリエル・バーン,ジェラール・ドパルデュー,アンヌ・パリロー,ジュディット・ゴドレーシュ

折りしも「仮面」つながりで余りにもタイムリーだったので(ガイ・フォークスの仮面をかぶったVと)、テレビでやっていた「仮面の男」も観てしまいました。実はこの映画、結構好きです。ディカプリオの映画の中では分かりやすくて普通に楽しめるし、ジェレミー・アイアンズやマルコビッチといった名優が超贅沢に脇を固めています。

原作者のデュマは子どものころ大好きな作家で、三銃士やダルタニアン物語などを夢中で読みました。Wikipediaで調べてみたら驚くべき怒涛の人生を送っていたことがわかり、密かに今マイブームです。劇作家として人気が出始めたころ、新聞の連載小説というものが発案され、それに目をつけたデュマは「モンテ・クリスト伯」や「三銃士」の連載を成功させました。莫大な富を手に入れたデュマはモンテ・クリスト伯の小説をモデルにした大邸宅を建て、そこですごい放蕩・浪費生活をスタート。築いた富は殆ど使い切ってしまい、死ぬときには何も残っていなかったそうです。そんな人柄がにじみ出ている数々の大冒険物語。ちゃんと読んだことがなかった「モンテ・クリスト伯」を読んでみようかと思っています。もう少しフランス語を頑張ると原書が読めるようになるんだけど・・・
ちなみに「仮面の男」で私が好きなのは、ダルタニアンの驚くべきダンディさと忍ぶ恋です。この人物の魅力が映画を支えているので、ディカプリオ扮するルイ14世はどちらかと言うと脇役ですね。

Vフォー・ヴェンデッタ

Vフォー・ヴェンデッタ
評価:★★★

ナタリー・ポートマン,ジェームズ・マクティーグ,ヒューゴ・ウィーヴィング,スティーヴン・レイ,スティーブン・フライ,アンディ・ウォシャウスキー,ラリー・ウォシャウスキー

マリアネッリが音楽を担当していること、そして公開当時かなり話題になったこともあって、Vフォー・ヴェンデッタを観ました。未来を舞台にしたコミック原作の映画で、雰囲気的にはバットマンとかそんな感じです。第3次世界大戦が起きてアメリカは無くなっていて、イギリスもファシズムのような恐怖政治に支配されている世の中。そこで政府に復讐を誓うV
という謎の人物がメインです。主人公はVに巻き込まれる女の子で、ナタリー・ポートマンが演じています。
全体的には「まあ、普通に面白い」というくらいでしょうか。
映画のオリジナル・スコアを期待していたのですが、あまり印象には残りませんでした。そもそもウォシャウスキー兄弟(Matrix)の映画なので、美しいメロディが期待できる作品ではないですね。本作の音楽と言えば、爆発シーンに効果的に使われているチャイコフスキーの1812 Overtureではないでしょうか。このシーンは大好きです。2回の爆発シーンがこの映画の見所という気がします。

Grilled Cheese Sandwich

全然どうでもいいことですが、The Devil Wears Pradaで主人公のボーイフレンドが作っているGrilled Cheese Sandwitchが美味しそうだな〜と思っていたので、レシピを調べてみました。アメリカではとってもスタンダードな人気メニュー。ピーナッツバター&ジャムサンドしかり、ただパンに何かはさんだだけで、和食やフレンチのような「食文化」を感じさせる要素は全くありません。でも美味しそうだったんだもん。

http://www.cooks.com/rec/search/0,1-0,grilled_cheese_sandwich,FF.html

要は、パンの間にチーズを挟んで、外側にバターを塗ってフライパンで焼くらしいです。

May 07, 2007

ホリデイ

ホリデイ
(出演 キャメロン・ディアス、ジュード・ロウ)
評価:★★★★★

最近映画館で観た映画その1です。みんなには2回目だとウソをついていましたが、実は3回観ちゃいました。映画館の興業収益をみると、世の中の人が映画館に行く回数は確か年間に平均一人1回未満だったと思うので、それを考えると私の行動って常軌を逸しているのかも・・・ でも宝塚や歌舞伎だって行く人は一杯行っていると思いますが私は一度も行ったことがないので、まあ、世の中そんなもんでしょう。
さて、ホリデイ。クリスマス映画ですが、ちょうど春休みムード漂う時期の公開だったこともあって、特に違和感無く休暇気分を味わえた気がします。
ストーリーはというと、キャリアも順調な30代の女性2人が恋愛に疲れ、ビバリーヒルズとロンドン郊外にある互いの家を2週間交換するところから始まります。休暇先の出会いを通じて自分を見つめ直し、新しい恋も見つける、というお話。なんかすごい紆余曲折とか困難があるというわけではなく、全体的にハッピーに、淡々と、順調に展開します。安心して観れるし、とても癒されます。
キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックという4人のメインキャストをイメージして脚本が書かれたこともあり、各人の魅力がとても活かされていて本当に適役でした。脇役の子どもたちやおじいちゃんもステキ。キャストはこの映画の魅力の1つです。
それから、何といっても私が好きなのは、この映画に出てくる5つの家です。アイリス(ウィンスレット)のSurry(ロンドン郊外)の家は信じられないくらいキュートだし、アマンダ(ディアス)のLAの豪邸も超ステキです。景色、家自体、インテリア、どれをとっても最高。LAの豪邸は家のインテリアのセットだけで100万ドルかかったらしいです。わたしが一番好きなのはマイルズの家かな。お庭に面してガラス越しに緑に囲まれた仕事場がLAらしくて、力が抜けた感じでいいなと思います。
それ以外に、アマンダの洋服も、音楽も、会話1つ1つも本当に良く出来ています。多分映画館で観た方が雰囲気が楽しめたと思いますが、見逃しちゃった人はDVDが出たら観てみてくださいね。
本当にホーム・エクスチェンジってあるのかな?私も1ヶ月くらいどこかに行きたいです。

近況

すごく久しぶりのエントリーです。なんとなくブログを書く気分でもなかったのでサボっていました。
夏くらいまでに転職することになりました。これまでうちの会社から転職された方々は、あるとき突然姿を見かけなくなって、気が付くと「本日で転職することになりました」というメールを頂く、という感じでした。なんていうか、わたしはその雰囲気が寂しくて、もう少しオープンに明るくやりたいな、と思っていました。以前勤めていた会社の同僚とも全然連絡を取っていなくって、いやな雰囲気で辞めてしまったので、今回はそれは避けよう、という思いから。ですが、職場の皆さんが超忙しそうにしているなか、一人でのんびり楽しそうにしているのも申し訳なく、「オープンに明るく」って難しいですね。
そういった色々な(?)ディレンマはある訳ですが、ここはひとつ「オープンに明るく」毎日遊んで、ブログでもその様子を楽しくお伝えしたいと思います。

毎日超のんびり生活をしています。今までヨガに中々行けなかったのですが、週に3〜4回は通おうかと思っています。映画も一杯観ています。幸せ♪ 夏の一番暑いときに転職をして、もとのバリバリキャリア生活に戻れない方に一票?!