August 09, 2010

Clarke

「幼年期の終わり」― と、小説のタイトルを小見出しに使うことも考えたのですが、Clarkeの綴り方が大好きで、タイトルに付けたかった。

人生で一番密度の高い読書をしていたのは、稲城(東京都)に住んでいた小5~中1の3年間。しかも特に小5~6(11~12歳)の2年間に読んだのはすごい量だった気がします。わたしが「図書館が好きだから」という理由で父親が図書館の近所に一家の引っ越し先を見つけてくれて、事実、足繁く通っていました。
今でも(小説コーナーの)書棚のレイアウトと、どこにどの本があったかを記憶しているほど。行く度にすべての書棚をくまなく眺めて「なにか新しい本は加わっていないか」「今までピンと来なかったけど自分が成長したことによって興味が湧いてきた本はないか」、探索していました。

SFでもディック、ハインライン、その他タイトルも著者も思い出せない多数のシリーズを読みましたが、一度も開いたことのなかったのがアーサー・C・クラークです。冒険小説的要素も恋愛もない、純粋なSF、宇宙人、といったものが全く琴線に触れず、何十冊もある彼の著作はすべて素通りしていました。何故突然読み出したかというと、この特集。





Esquireが廃刊になった際、まだ書店にあったバックナンバーを大人買いしてキープしてあったSF特集。2008年のもので、クラークが亡くなった直ぐ後に作られたもののようです。 雑誌は手元に暫くあってディックや若手SF作家の記事は既に読んであったのですが、ここでもクラークの偉業を語る特集は飛ばしていました。興味のなさが伺える。。。(笑) 先週、なんとなく読み返してみたらすごく面白かったのです。
子供の頃から、クラークの科学的知見の緻密さについては何となく知っていましたが、宇宙開発の一端を担う技術革新にクラークの発見・発明がいくつもあることには驚きました。それよりも興味を惹かれたのは、50年前、70年前の世の中が未来の技術をどう見ていたか、ということ。それを読んでみたくてクラークの作品を図書館で入手しました。
特集記事で必読の5作品、とされていたのは以下のもの。

「渇きの海」
「都市と星」
「楽園の泉」
「宇宙のランデヴー」
「2001年宇宙の旅」
そして、「幼年期の終り」は“別格”だそう。







いま、別格から読んでいます。まだ3分の1程度しか読了していませんが、面白い。もう、とても。
1953年に「20年後の世界とその後」として書かれた本作品、社会の状況や物事・技術の描写がまったく古くなく、ちょっと空恐ろしい感じさえ受けます。
読み終わったらまたレビューするかもしれません。





おっと、さっきニュースで「宇宙エレベータ」の技術を競う世界大会が千葉で行われたという様子が紹介されていました(!)。ロケットの代わりにエレベータで宇宙に行くというこの構想、なんと発案者はクラーク。でもニュースではその話はしていませんでしたが。
ちょうど彼の作品を読み始めたときにこのニュース。真剣に取り組んでいる人がいることに驚きひとしお。

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