November 24, 2012

婉曲のススメ(今日は英語のレッスン)

友人や同僚が英語を勉強しているなか、よく「どうやったら上達するか?」と聞かれるのですが、やはり使うしかないというのが正直なところ。使って沢山間違いをして、相手に変な顔をされたのを見逃さずどこがおかしいか聞き、ネイティブの人の言い回しを真似する。ということの積み重ねです。わたし、未だにこれをやっています。いつも間違いだらけです。There is no shortcut in learning languages.

ただし、振り返ってみると「これは越えて良かった」と思える山があったことも確かです。その一つが婉曲の表現。

「英語には敬語が無い」なんて思っていませんか?そんなことはありません。日本語のような明確なヒエラルキーやシステムが無いだけ。だから余計に難しいのが英語の丁寧な表現。たまに日本でもすごく馴れ馴れしい日本語を話す外国の方を見かけますけど、日本人の多くが英語でやっていること、まさにこれです。ね、ちょっと恥ずかしいでしょ。

日本語でも同じですが、一番の問題となるのは他人に色々なお願いをするとき。そして仕事でメールを書くということは、即ち誰かにお願いしたりお願いされたりが8割ではないかな。

私は言語学のエキスパートでもないし、英語の先生でもないのでちゃんとした整理はしていないのですが、丁寧の表現にはおそらく4つの象限があります。
A. 身近な人にお願いする
B. 知らない人や目上の人にお願いする
1. 直接的に頼む
2. 間接的に頼む(婉曲的な表現)
一般的に学校で習うのは、おそらくA1だけです。あとは大学やネイティブの英語学校などで教えていると思うのだけど、会社で観察していてもA1以外使いこなしている人を余り見かけません。

まず、A1とB1について見てみましょう(英語のレッスンっぽくなって来た!)
A1. Can you please turn off the TV?
       Will you please turn on the light?
      Please take these to the admin office.
      (その他May I do this? Can I come in?などがありますが、許可を求める表現なのでお願いとは少し違いますね。)
家族や友人、とても親しい同僚や目下の人に使う表現です。そして、上の例のような「些細なお願い」をするための表現です。いくら友人でも、大金を借りようという時に、あまりCan you lend me a million yen?とは言いません。せめて数百円?
Can you pleaseは使う場面や相手を間違うと、やたら馴れ馴れしく失礼になります。
Will you pleaseは役所や窓口など、(お願いするというより)事務的に相手を指示するような場合にも使うようです。

そして、ちなみに、pleaseを付け忘れると、とってもとっても嫌な顔をされます。英語圏では赤ちゃんのときから、pleaseを付ける訓練をしているようなので。日本人からしてみたら「忘れることだってあるじゃん!」と思うのですが、通用しないようです。

B1. Would you please sign these forms?
     Could you please provide us with more information?
仕事の場面では、この2つが一番一般的。こちらを使っておけば間違いありません。
2つのうちより丁寧なのは、Could you pleaseらしいです。Would you pleaseというのは、「当然やってもらえますよね」的なニュアンスが含まれている様子です。もう期限を過ぎているのに相手が書類を提出していない時など、Would you please send it to us by tomorrow morning?などと使います。有無を言わせない雰囲気が漂っているようです。
というのをどこかで読んだので、普段はCould you pleaseを使っています。
(仕事の場面でWill you do it?など、please無しで聞いたりするのは、意思を聞いているのでお願いしている訳ではありません。結果的に同じになったりするけど、ちょっと違いますね。)

さて、それでは間接表現のほう。
A2. 考えてみたら、この組み合わせはないですね。親しい人に婉曲なんて使わないかな。Would you mind holding these for me?とかは言うかな。これは婉曲でしょうか。

B2. Thank you in advance for taking your time. 
       We would appreciate it if you could consider meeting with us.
       I would be appreciated if you could review my resume.
  I wonder if you could provide some information on this matter. 
現実的にはこれが仕事で相手に依頼をする際の基本表現だと思うんです。特に文章で依頼する場合。これやってもらえますか?と直接的に頼むのは、もう既に知っている相手。未知の相手に「少しでも時間を下さい」「できれば一緒にお仕事させて下さい」という際にはまず、「ご連絡頂ければ幸いです」と言いますよね?この「幸いです」が上の表現です。Thank you in advanceはその中でも一番カジュアル。だって、お願いすることを「やってくれますよね?ありがとう」と言っちゃうんですもの。
I would be appreciated if you could...と、I would appreciate it if you could...、仮定法っていうのかな(忘れちゃった)、この組み合わせが中々難しいと思うんですが、これをマスターするとビジネスレターの質もグンと上がりますし、普段の仕事会話でも使えます。
I wonder if you could... というのは、さらに弱いので押し付けがましさは減ります。全く初めての提案をする時などに適しているかな。

このB2の表現、ここが山の1つだと思うんですよ。仕事って人に何かをお願いすることで成り立っているので、丁寧な表現を使いこなせるようになってくださいね。それで相手からのレスポンスや、レスポンスの質が変わってきます。プライオリティを上げてもらえるようになります(もちろん依頼内容にもよりますけど)。

説得、というのが英語圏のカルチャーだという気がしています。

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