February 17, 2012

あなたはだんだんきれいになる


をんなが付属品をだんだん棄てると
どうしてこんなにきれいになるのか、
年で洗はれたあなたのからだは
無辺際を飛ぶ天の金属。
見えも外聞もてんで歯のたたない
中身ばかりの清冽な生きものが
生きて動いてさつさつと意慾する。
をんながをんなを取りもどすのは
かうした世紀の修行によるのか。
あなたが黙つて立つてゐると
まことに神の造りしものだ。
時時内心おどろくほど
あなたはだんだんきれいになる。


(千恵子抄 昭和二・一)


この詩。
すごくないですか?

高村光太郎が結婚13年目にして詠んだ詩です。
いくら仲の良い夫婦でも、5年、10年と一緒にいて何の変化もないなどということはありえない。でもお互い変わりながら、その関係を進化させていっている様子が、この詩からは透けて見える。
女性から見て、詩の中身自体が「目がハートになるほど」素敵だけれど、そんな文脈から考えると益々スペシャルな一篇に思えます。
もし、あなたが男性でこれを読んでいたら、是非大事な女性に贈ってあげてください。

No comments: