April 22, 2007

プライドと偏見

プライドと偏見
評価:★★★★

This is one of my very very favorite films. 

ベスト10に入ると思います。
(といいつつ、ベスト10フィルムが10本以上ある気がしています・・・)

子供のときにある程度文学作品を読んだ人なら大抵めぐり合っている『高慢と偏見』。
もちろん皆話は知っていますが、ストーリーどうこうではなくこの映画は必見だと思います。
原作も日本語だと上下巻になってしまうくらい長く、かつてBBCが作成しベストセラーになったTVドラマでも12時間という長編(放映時間にはイギリスの街が閑散とした、という伝説的な噂もあり)。それをなんとこの映画では2時間に収め、しかも短さを感じさせない素晴らしい台本&編集となっています。
この映画が超おすすめである理由はキャスト、映像、音楽にあります。
これまでジェーン・オースティンの作品が映像化されたものをみると、大抵はキャストが少し年齢オーバーでいまひとつイメージとしっくり来ませんでした。おそらく高名な文学作品を演じるのに、それなりに実績のある俳優を使っていたという理由からかもしれません。でもこの時代のイギリスで「結婚適齢期を過ぎつつある年齢」といえば20そこそこであって、どう見ても30代の俳優が演じるには少しミスフィットです。
それはともかくとして、主役のキーラ・ナイトレイ、お父さん役のドナルド・サザーランド、それ以外の配役もとてもイメージどおりで演技も素晴らしいです。
また、おそらくこの映画の評価が非常に高い理由は、その映像表現の巧みさにあると思います。重要シーンごとのつなぎ目に配置された情景描写の映像が息を呑むほど美しい。
たとえば導入部分で主人公のエリザベスを追ってカメラが家に入っていく撮り方、ブランコに乗りぐるぐる回っている視線の撮り方(上手く説明できませんが、観ていただければ分かると思います)、エリザベスが明け方に鏡を見つめながら段々外が明るくなっていく様など、印象的な映像シーンも沢山あります。
最後に、音楽。サントラがすごく良いです。サントラを全部作曲したのは若手のダリオ・マリアネッリという映画音楽専門の作曲家で、それをジャン=イブ・ティボーデという(有名らしい)ピアニストが演奏しています。マリアネッリはここ数年で色々な映画のサントラを手がけているらしく、サントラつながりで映画を観てみるのも面白いかも、と思っているところです。他の作品としては「Vフォー・ヴェンデッタ」などもそうらしいです。
とにかく完成度の高い音楽。初めてサントラのCDを買ってしまいました。

というわけで、美しい映像や音楽が好きな方には特にオススメの映画でした。

***
追記
最後のシーン、エリザベスがダーシーと結婚する承諾を父に請うところがとても好きです。父親の台詞:「I cannot believe that anyone can deserve you, but it seems I am overruled」が何とも、涙が出るくらいいいフレーズだと思います。

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