November 09, 2009

良い文章というもの

文章というものには良いものとそうでないものとあるな、と初めて感じたのは中一のときです。このブログも時々見ていてくれているらしい同級生の書いた作文がとても良くて、あ、こんな普通なことも面白く素敵に書くことができるんだ、と感心したのを覚えています。二度目は高一のときで、やはりクラスメートの書いた文章でした。高校になると有名な随筆や小説の一文などを読んだり解釈させられたり、という機会が増えますが、私にとっては身近な人の書いた一文にハッとさせられることのほうが多かったと思います。
先日ブログで予告したとおり、堺雅人さんの「文」という本
を入手して今朝読み始めました。正直、本を買ったときに何を期待していたのか自分でも分からないのですが、まだ4ページしか読んでいないのにすっかり魅了されてしまいました。堺さんが2004年あたりから雑誌で連載していた原稿用紙4枚分の「文」が4~5年分まとめられている、とてもシンプルな本です。
文字数を原稿用紙4枚分に合わせようとしているせいか妙な言葉が平仮名になっているのが少し気になるものの、とても読みやすい。この人自身がとても本好きなんだろうな、と思わせる味のある文章です。役者という仕事と作家という仕事、結構似ているのかもしれないな、と思いました。観客をふっと別な世界に連れて行く、という点で。あとがきを読み、前書きを読み、はっと気がつくと電車を乗り過ごしそうになっていました。気がついたら堺さんが演劇を始めたという高一の春にタイムスリップしていて、そのうち自分の高校時代の校舎の光の様子や匂いなどを思い出し、ふと目を上げるともう駅でした。
コンサルに転職して以来、意識してビジネス書を読むようにしているせいか、最近文学や随筆を読む機会が減りました。ビジネス書や実用書って情報を頭に流し込んでいるようなかたちで、良い文章かどうかなんて誰も気にしないし翻訳が最悪でも有名な本ならみんな我慢して読むし、ひとことで言えば文章なんてどうでもいい。そのうちに良い文章を書くということを意識しなくなっていた自分に気がつきました。
私は元来かなり文章を書くということが好きで、今は誰もおぼえていないと思いますが、高校のときは文学部で短い文章を書いてみたこともありました。編集の仕事をしていたときには、文章の書き方についてかなり勉強をした気がします(ほとんど忘れちゃったけど)。
肝心の、何が良い文章なのかという点については、私は言葉遣いとリズム、つまり句読点だと思います。こちらは技術の面。もちろん、どのような内容をどう表現するかというクリエイティビティの側面もあります。ただ、小説や随筆などのクリエイティビティを発揮できる文章もあれば、シンプルに事実を分かりやすく伝えたほうが良い報道や学問書もあるので、クリエイティビティは必須の評価項目ではないと考えています。
そんなことをだらだらと書いてみましたが、つまり、まとまった文章を書く機会を自分も設けたいと思ったのでした。例えば、月に2回きちんとした随筆を書くとか。これも訓練次第なんだろうな。今なにか新しいことを始めてみたい機運が高まっているので、これもTo Doリストに入れてみようかと思います。

余談ですが、先日堺さんの映画のレビューを書いたとたん、ブログのアクセスが増えました。隠れファンが実は凄く多いのかも。

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